闇の左手 (ハヤカワ文庫 SF 252)
https://gyazo.com/bf3ce104f8b7205e2df82f23e4fb8f9a
両性具有の人間の世界を描くことで、ジェンダーのない社会を題材にしており、フェミニストSFの代表作として分類されている。 https://www.youtube.com/watch?v=UBo6pIqgVXQ
感想など
最初は専門用語だらけでなかなか頭に入ってこない(SFあるある)
再読してやっと設定・世界観が分かってきて、面白さがじわじわ出てきた
本書の大氷原を抜ける過酷な旅の描写を思い浮かべると、自分が辛い時に耐えられそうな気がしてくる
特に、寒い冬を過ごすときなど
両性具有の種族で、生理的に約1ヶ月間隔でしか性欲が発生しない設定
そこで常に性欲が発生する地球人との価値観とのズレが生じる
地球人が年老いて性欲が枯れたら同様の感情になる?
外惑星からの使節が主人公ゲンリー・アイただ1人であり、現地人からしたらペテン師が好き放題言っているのと区別がつかないのは確か
証拠を見せてしまうことは取り返しがつかない事態になるため、穏健のやり方で進めているがゆえの懐疑
p90
p93
「未知のもの、予言しえないもの、立証しえないもの、これが人生の基盤になるのです。無知は思考の基盤です。立証不能であることが行動の基盤になるのです。神が実在しないことが証明されたら、宗教は生まれないでしょう。
この地球でも、未知や神秘的なものから生じる宗教が、人の心の支えとなり、行動の基盤となっていることは確か。
ゲンリー、なにがわかっていますか?予言しうる、確実な、避けえないこととはなんですか――あなたやわたしの未来において、あなたが確実に知っていることは?」
「われわれは死ぬということです」
寒い土地に住む人と、そうでない人とのカロリー摂取量や食事の違い
寒冷地では発熱のための高カロリー摂取が必要
p188
無神論者であるということは神に固執しているということなり。神の存在も非存在も立証の場ではほとんど同じことである。ゆえに立証という言葉はハンダラ教徒のあいだではほとんど用いられぬ。従って彼らは神を立証とか所信とかにかかわる一つの事実としては扱わぬことにしたのである。かくして彼らは悪循環を破り自由に進む。
神の存在も非存在も立証はできないのだからどっちでもよく、悪循環を破り自由に進む
濃縮食料のネーミング「ギチ・ミチ」がみっちり詰まってそうで秀逸